日本民俗学会第52回年会は、平成12年9月30日(土)から10月1日(日)の日程で、長野県松本市信州大学旭町キャンパスをメイン会場に開催されます。

 その日程は、下記のように予定されています。
9月30日(土)

   10:00〜11:30・・・・・・・評議員会
   13:00〜13:10・・・・・・・開会の挨拶
   13:10〜16:10・・・・・・・公開シンポジウム
   於:県松本文化会館中ホール

「ヤマの暮らし−その多様性と変容−」
〔趣旨〕
 「ヤマの暮らし」といった時、現代の課題でもある過疎化などマイナス要因がクロー ズアップされがちであるが、人々のヤマと関わっての豊かなヤマの暮らしや文化的側面に光を当てた追究を試みる。  またヤマの問題の読み直しとして、過疎化も含めて「ムラとは何か?」という根本問題に立ち返った時、そこに生活する人々が集まって暮らす意味ということについても考えてみたい。そこでサブテーマを「その多様性と変容」とした。

○パネラー

白水智(中央学院大学・中世史)
安室知(熊本大学)
福澤昭司(長野県民俗の会)
○コメンテーター
山本質素(日本大学)
篠原徹(国立歴史民俗博物館)

○司会

倉石忠彦(國學院大学)
巻山圭一(松本深志高校)
   16:20〜17:40・・・・・・・研究奨励賞授与式・会員総会
   18:00〜20:00・・・・・・・懇親会

10月1日(日)

   10:00〜17:00・・・・・・・研究発表

○課題A−「ヤマをめぐる諸問題」
○課題B−「民俗の変容」
○課題C−「地域牲を考える」


 この年会に向けて、長野県民俗の会を中心に実行委員会が組織されています。
 とくに年会テーマとしている『ヤマの暮らし』については、多くの方々から意見をいただき、年会に集約したいという実行委員会一致の願いがあります。

 





     テーマ 「ヤマの暮らし−その多様性と変容−」      



 今年度の年会を受諾するにあたり、シンポジウムをどう企画するかが大きな課題となった。長野県でおこなう以上は「長野県らしさ」を、という声が多くの実行委員からまずあがった。では、この「長野県らしさ」とはいったい何なのか。これが一筋縄ではいかない。委員からは「中央と地方」「過疎」「山国の食生活」「長野県と柳田」など幾つもの案が提出されたが、結局陳腐ではあっても長野県では「山」をおいては語れないだろうということに落ち着いた。

 その山の暮らしが、今崩壊しつつある。挙家離村でなくなったムラ、年寄りだけの家が点在するムラなど数多い。にもかかわらず、最近では珍しくもない現象なるがゆえにマスコミもめったに取り上げはしない。こうした現象を踏まえつつ、「ヤマの暮らし」をどうとらえていったらよいのか。私たちは二つの視点を設けた。多様性と変容である。


 「ヤマの暮らし」と一口でいっても、その具体的姿、それぞれがよるべき生業は様々である。だから、里の村のように、稲作を中心とする生活のリズムとしてくくるわけにはいかない。というよりもむしろ、単一化されない生業の姿こそが山の暮らしの特徴だといえるだろう。その多様な姿をまず明らかにしたい。次に、急速に変容していくその姿である。そして、変容する中でも変わりにくいもの、あるいは変わらないものは何なのか。「ヤマの暮らし」から我々が現代にくみとるべきは、そこに生きる人びとの智恵とともに、そんなところにもあろうかと思われる。


 さて、私は何度も年会のシンポジウムに出席し、その報告も書いてきた。いずれも期待はずれといった感が強く、論戦が展開されて盛り上がったというものはなかったといってもよいだろう。多くの場合が時間が不足し、パネラーが発表するだけで精一杯で、フロアーとのやりとりはさほどなく幕を閉じてしまった。そこで、来年度は記念講演をなくし、その分をシンポジウムにたっぷり時間をとり、フロアーを交えた討論の中で、山に暮らす事の意味をさぐり、その将来を展望してみたい。

 シンポジウムの企画は緒についたばかりで、まだ霧の中にある。今後このホームページを使って、企画の進展具合を随時お知らせしながら、会員諸氏のご意見を賜ることでよりよいものにしていきたいと考えている。自由に意見をお寄せください。

シンポジウム担当
福澤 昭司
巻山 圭一



***年会実行委員会***

〒390-0873
松本市丸の内4-1
松本市立博物館気付

実行委員長 笹本正治
事務局長 多田井幸視
委員 臼井ひろみ
小原 稔
菊地建策
木下 守
窪田雅之
倉石あつ子
小林寛二
塩原千恵子
田澤直人
寺田一雄
中崎隆生
中村慎吾
原 良通
福澤昭司
藤森裕治
細井雄次郎
巻山圭一
松本清人
三石 稔
山崎ます美